Interview

楽しく、でも全力で。技術競争の最前線で築いた独自のキャリア

合田

職種:研究
部門:研究開発部門
専攻:工学部 電気通信系学科 (大学院 生命医用工学専攻)

他社エンジニアも驚く技術力に惹かれ、専門外から自動車業界へ

クルマに関する専門知識はほぼゼロ。大学時代の専攻は電気電子工学でしたが、研究テーマは橋梁の非破壊検査で、現在のMG(モータージェネレーター)開発の仕事との接点はほとんどありませんでした。
そんな私がクルマの世界に飛び込もうと決めたのは、日本の産業の中でトップクラスに競争が激しく、技術開発が活発に行われている業界だと感じたからです。

就職活動では、「ハイレベルな環境でこそ自分は成長できる」「高い付加価値を生み出している会社で働きたい」という軸を大切にしていました。自分の力がどこまで通用するのか試したい、そして自分が手掛けたプロダクトで世の中にインパクトを与えたいという気持ちもあり、日本の一大産業である自動車業界に興味を持ちました。

その中でも、デンソーに入社したいと思ったきっかけは、インターンシップで訪れた競合メーカーの技術者の言葉でした。「デンソーの技術は本当にすごい」。競合からそこまで言われる会社とは、どんなところなのか——。調べを進める中で、ハイブリッド車向けのMGやインバーター、さらにはQRコードなど、世界に先駆けた新技術を次々と生み出してきた実績や、量産だけでなくレース・次世代モビリティまで視野に入れた先進技術の開発をしていることを知り、入社意欲がどんどん高まっていったのを覚えています。

「技術競争の中心で戦えるエンジニアになりたい」という自分の希望を高い水準で叶えてくれる職場だと思えたこと、「ここなら技術で本気の勝負ができる」と確信できたことが入社の決め手となりました。

入社後は、自動車向けの量産MGの開発からキャリアをスタートしました。その後、完成車メーカーへの出向を経て、空飛ぶクルマ(空モビ)向けモーターの開発に携わり、現在は研究開発部署にてレース向けMGの開発を担当。モーターという共通軸を持ちながら、性質の全く違う現場で試行錯誤を重ねてきた経験こそが、私のエンジニアとしての最大の誇りであり、強みだと言えます。

量産・空モビ・レースで広げた“技術のマップ”

これまで、量産・空モビ・レースという3つの領域を渡り歩いてきました。ひと口にモーターといっても、対象が違えば、求められる性能や設計思想は大きく異なります。量産の開発では、品質・コスト・生産性といった、安定供給のための要件が最優先です。いかに性能を上げるかだけでなく、「どんな条件でも同じ品質でつくり続けられるか」を考え抜くことが、量産開発の核心だと感じさせられました。

一方で、空モビはその対極にある全く新しい分野。要求仕様すら決まっておらず、「そもそもどう飛ぶのか」「どんな安全思想でいくのか」といった、従来の自動車用モーターの発想ではたどり着けないような概念や前提の部分から、チーム一丸となって定義していくスタイルでした。

同じモーターを考えるにしても、量産とは設計の出発点が全く違う。空モビの現場での経験を通じて、仕様に基づき設計するのではなく、“仕様そのものをつくりにいく”という観点を持てるようになりました。

現在携わっているレース用MGでは、“究極の性能”が要求されます。開発メンバーは少数精鋭で、しかも納期にあたるレースカレンダーは絶対に動かせません。超少数・超短納期という条件のもと、FIA世界耐久選手権のようなモータースポーツの最高峰でトップを獲るために、限界ギリギリ、いや限界を超えるような性能を出し切ることが求められます。数十kgあるモーターから、たった1gを削るために試行錯誤を重ねるなんてことも、ここでは日常茶飯事です。わずかな軽量化や性能向上がラップタイムに直結し、勝敗にも繋がりますから。

量産や空モビで培った安全思想や品質保証の考え方を、いかにレースにフィードバックするのか。逆に、レースで得た知見を、どこまで量産に持ち込めるのか。異なる3つの領域を経験したことで、最先端の技術を最適な形で社会実装に繋げていく“技術のマップ”が、自分の中で少しずつ描けるようになってきた感覚があります。

技術開発と社会実装の“橋渡し役”

デンソーで働いていて何より強く感じるのは、“技術に一切妥協しない”ことです。量産部署にいたころ、納入先のお客さまからはOKをいただいた技術根拠が、社内レビューでは認められなかったことがありました。当時は「ここまで突き詰めるのか」と驚きましたが、同時に「お客さまの要求を満たせばいい」というレベルをはるかに超えた基準を自らに課している、技術に素直でストイックな会社なのだと強く感じました。学生のときに聞いた「デンソーの技術は本当にすごい」という言葉を、当事者として身をもって実感させられた出来事でした。

デンソーの研究開発は、アカデミックとビジネスの中立的な立ち位置にあると感じています。大学や研究機関、協力会社などと連携しながら、時代を先取りする技術やテーマに挑みつつ、量産化・事業化を見据えて研究を進める。研究所のように原理原則の探究だけに振り切るわけでもなければ、事業会社のように目先の利益だけにとらわれるわけでもありません。実現可能性の高い近未来の技術領域を突き詰める、アカデミックとビジネスの双方の面白さを両取りできるのが、デンソーの研究開発だと思います。

これまでの活動を経て、目指したいエンジニア像も少しずつ明確になってきました。それは、技術開発と社会実装の“橋渡し役”となることです。レースのような究極を追い求める開発現場で養った技術やスタンスを、量産車や新しいモビリティとして社会に届けていく。ひとりのエンジニアとしてきちんと繋げていきたいと考えています。

とはいえ、モーターという特定の分野だけを見ていては、この域に到達するのは難しい。インバーターやECU(自動車の各種システムを制御する装置)、制御ソフト、冷却やパッケージングといった周辺技術まで含めて、「電動システム全体の中で、どこに手を打つのがいちばん価値を生むのか」ということを考える必要があります。場合によっては、モーター側の性能をあえて抑えてでも、システムとしての効率や信頼性を高めたほうが、お客さまや社会にとって価値が高いこともある。
そうした全体最適の観点でプロダクトを設計・提案できる技術者でありたい、という気持ちが日に日に高まっています。

妥協なき技術風土の中で広がった、技術者としての視野と可能性

技術レベルが高いことだけではありません。一人ひとりの希望に寄り添ったキャリア形成を後押ししてくれることも、デンソーの魅力です。公募制度も活発で、たとえ畑違いな分野であっても「挑戦してみたい」と手を挙げれば、きちんと話を聞いてもらえる。一方で、強制的にローテーションさせられるわけではなく、自分の専門をじっくり深めていく選択も尊重されます。モノづくり産業の中でも特に裾野の広い自動車業界において、私が非常にユニークなエンジニアになれたのは、デンソーならではの制度と風土があったからこそです。

こうしたキャリアの柔軟性や選択肢の広さの下支えとなっているのが、“研究開発に本気で投資している”という企業風土です。売上に占める研究開発費の割合も高く、会社として新しい技術を生み出すことに全力で取り組んでいます。それを象徴する仕組みのひとつが、研究開発センター発足である全社横断型のプロジェクトです。

通常、部署をまたいでひとつのテーマを掘り下げるのは、時間の面でもコストの面でもハードルが高いのですが、このプロジェクトでは研究開発部門や生産技術部門、量産部門など、社内のさまざまな部署のメンバーが連携し、大きな予算をもって新技術の開発に挑戦しています。

こうしたデンソー独自の仕組みがあるからこそ、個々のエンジニアが担当部署の枠を超えて視野を広げ、自分の専門技術をより深く掘り下げながらも、新たな領域へと踏み出すことができる。技術開発と社会実装の橋渡し役を目指す自分にとっても、非常に恵まれた環境だと感じています。

私のモチベーションの源泉、そして原点でもあるのが、技術への好奇心と探求心です。「デンソーの技術は本当にすごい」という言葉をきっかけに入社し、希望通り技術競争の最前線で研鑽を積んできました。いつも変わらず、私の好奇心と探求心を刺激してくれる技術風土と、研究開発から量産・社会実装までを見渡せる環境、そしてレースという究極の性能を追求する開発現場。そのすべてを糧にしながら、これからも“楽しく、でも全力で”技術と向き合い続けたいと思っています。

これから仲間になる方へ

技術への好奇心があれば、道はひらける

今はまだ明確な将来像がなくても大丈夫です。私自身、自動車業界とは違う世界から、技術への興味と探求心だけを頼りにデンソーに飛び込みました。

好奇心と“全力で楽しみ、やり切る姿勢”があれば、日々の業務の中でエンジニアとしての目標が自然と形になっていくはずです。

ぜひ、そのプロセスを楽しんでください。