Interview

前例のない商用EVに挑む。理系出身の営業が技術とビジネスを繋ぐ

安保

職種:営業
部門:営業部門
専攻:大学院 生命農学研究科専攻

研究職ではなく営業を選んだ。自分の“やりたいこと”を尊重した決断

「理系で大学院まで行ったなら、研究職に進むのだろう」と、自分自身どこかで思っていました。しかし、就職活動を行うにあたり、理系や院卒であることを抜きに改めて自分の人生を広く振り返り、キャリア形成について考えてみました。小中学校では学級委員、高校では部活のマネージャー、アルバイトも接客や家庭教師など人と関わる仕事ばかり。 私にとって“何を専門にするか”以上に、“身近な人の役に立てること”のほうが仕事を選ぶ上で大事にすべき軸でした。

身近な人の生活を支えたい。その延長線上で、もっと多くの人の暮らしにも貢献したい。そう考え、その2つを達成できる自動車関連のメーカーへの就職を検討しました。愛知県出身で、デンソー本社にほど近い場所で育ったこともあり、デンソーは昔から身近な企業でした。複数の自動車メーカーを支えるサプライヤーとして、身近な人はもちろん、多くの人の暮らしに関われる点に魅力を感じました。

最終的に研究や開発職ではなく営業職を選んだのは、「人と関わりながら価値を届ける仕事がしたい」と強く思えたからです。営業職を選びましたが理系としてのバックグラウンドは仕事に活きています。学生時代に行っていた研究作業では、“仮説を立てて検証し、うまくいかなければアプローチを変える”ことを繰り返してきました。営業でも、「お客さまは何に困っているのか、どうすればお困りごとを解決できるか」について仮説を持ち、対話を重ねていきます。この“仮説思考”や“課題発見”の力は、業務分野が変わってもそのまま武器になっていると感じます。

加えて、 学生時代の専門分野とは異なりますが、設計や開発の方に対しても、細かな専門用語を毛嫌いせずに一歩踏み込んで話ができることも理系ならではの強みが活かされているポイント。理系の素養を持った営業だからこそできる役割に、今はやりがいを感じています。

事業部横断で組み立て、商用車ビジネスをリードする

今担当しているのは、トラックやバスといった商用車メーカーのお客さまです。電動化製品や衝突安全製品を中心に提案していますが、“インバーター担当”、“安全製品担当”というような製品別ではなく、“お客さま担当”として商用車ビジネス全体を担っているのが特徴です。

デンソー社内にはそれぞれの製品を開発・設計している事業部がありますが、営業はそこから独立した組織としてお客さまに向き合うのです。だからこそ、「この製品を売りたい」という発想ではなく、「お客さまがどんな車両を、どんな用途で利用したいのか」という軸で考え、最適なご提案ができるのがこの仕事の面白さだと思っています。

お客さまには「こういう用途のトラックをつくりたい」「各マーケットの安全基準をクリアした車を届けたい」という目的が先にあります。そこで営業である私が、社内の関連事業部と連携しながら「デンソーのこのシステムを軸に提案しましょう」というように、最適な提案を一緒に考える役割を担うのです。

商談では、お客さまの購買担当者だけでなく、技術領域の方とも直接議論をします。 技術的な制約や開発の日程、コストの考え方など、開発現場の事情を聞きながら、“お客さまのやりたいこと”と“デンソーとしてやるべきこと”の接点を探っていきます。双方の視点を大切に、解決策をつくっていくのが私の役割です。

一方で、商用車の電動領域はデンソーの中でもまだまだ発展途上。新しい電動化のプロジェクトを立ち上げようとすると、開発リソースと予算の兼ね合いで壁にぶつかることもあります。そんなときに意識しているのは、将来像をきちんと示すことです。

商用EV市場がデンソーとして大きなチャンスになることや、中長期のメリットを伝えながら、社内の設計や生産メンバーを巻き込んでいきます。お客さまに対しても、品質や機能が持つ価値を丁寧に説明し、理解していただくことを大事にしています。

こうした社内外の合意形成は、決して簡単ではありません。それでも、事業部をまたぎながら、お客さまと社内の双方の視点で商用車ビジネス全体を設計していくことは、デンソーだからこそ経験できる営業の醍醐味だと感じています。自分の提案や調整が、数年後に新しいトラックやバスとして形になっていくのをイメージしながら、日々の案件に向き合っています。

電動バスとEVトラック。前例のない挑戦が形になる瞬間

担当している商用車の中でも特に印象に残っているのは、2025年の大阪万博でお披露目した電動バスのプロジェクト。お客さまにとっても初めての電動バスで、「何から始めればいいのか」というところから一緒に走り出した案件でした。私自身も手探りの部分が多く、“一緒に悩んで、一緒に前に進んでいく”感覚がとても強かったですね。

乗用車では電動化が進んできている一方で、トラックやバスのような商用車は事情が違います。重い荷物を積んで長距離を走る必要があるため、馬力や航続距離、充電インフラなど、乗用車以上にクリアすべき課題が多いのです。その中で、今できる現実的な一歩をお客さまとゼロから考えていったのがこの案件でした。

タイトなスケジュールの中で仕様を変えざるを得ないこともあり、都度社内の設計や生産と調整しながら、納期・コスト・安全性のバランスをどう取るかを日々すり合わせていきました。営業だからといって価格だけを見るのではなく、量産化までのプロセスを最後まで伴走する、プロジェクトマネージャーのような立ち位置だったと思います。

印象的だったのは、お客さま側の担当者も私と同じくらいの年次の方で、お互いにプロジェクトを推進していく立場は初めて。困りごとを整理し、「今どこまで進んでいるのか」「何がリスクになりそうか」「デンソーとして何ができるか」をこまめに共有し続けました。納期の目処や対策も、少しでも早く、正直に伝えるように心がけていました。

万博の場で電動バスがお披露目され、ニュースなどでポジティブな反応が出ているのを見たときは、本当にうれしかったですね。「日本で電動バスって、まだ珍しいよね」と言われるような段階で、その一歩目に関われたことは大きな経験でした。担当を引き継ぐ際に、お客さまから「ここまでやってくれてありがとう」と言っていただけたことを今でも強く覚えています。

現在はEVトラックの案件にも携わっていますが、こちらもまだ前例が少ない領域です。電動化を進めるだけでなく、“環境価値”と“ビジネスとしての競争力”をどう両立させるかまで考える必要がある。世の中にまだないモノをお客さまと一緒につくり、社会実装の最前線に挑めるのは、商用車の電動化に向き合うデンソーの営業ならではの醍醐味だと感じています。

海外で戦える営業へ。裁量とチームワークが成長を加速させる

実は、入社前から「いつかは海外で働いてみたい」という思いを抱いていました。単純に異文化が好きというのもありますが、デンソーが知られていない市場でどこまで戦えるのか試してみたいという気持ちが強かったのです。

今担当しているお客さまは、タイやマレーシアなど東南アジアに主要マーケットを持っており、現地を走っているトラックやバス、現地メーカーとの競争環境を見ると、「日本のやり方だけでは通用しない」と感じる場面が多くあります。低コストで勢いのある海外メーカーも多く、危機感と同時に、チャレンジャーとしてのやりがいも強く感じています。

こうした環境の中で、若手にもかなり大きな裁量が与えられているのがデンソーの営業です。入社数年目から、プロジェクトの責任者としてお客さまの購買・設計担当者との交渉を任されたときはとても驚きました。でも、「あなたはどう考える?」「どう進めたい?」と必ず自分の意見を聞いてもらえるので、プレッシャーと同じくらい、やりがいも大きいですね。

一方で、任せて終わりではなく、チームで支えてくれる雰囲気があるのも心強いところです。上司や先輩は海外駐在や海外案件の経験者が多く、「自分のときはこうだったよ」と具体的なアドバイスをくれますし、設計メンバーも一緒に、チームとしてお客さま先に訪問します。自分から手を挙げて動けば、必ず誰かが背中を押してくれる──そんなチームワークの良さは、入社してから強く感じているデンソーの好きなところです。

今の私の目標は、「一人で任せても大丈夫」と思ってもらえる営業としてさらに成長することです。お客さまからも社内からも、安心して案件を任せてもらえる存在になって初めて、海外に挑戦する準備が整うと思っています。そのうえで、将来は海外拠点に身を置き、価値を生み出せるグローバル営業として挑戦していきたいです。

大きい組織にいながら、若手のうちから大きな裁量を持って挑戦できること。そして、一人ではなくチームで戦える環境があること。この2つが揃っているからこそ、チャレンジングな舞台にも前向きに手を挙げていけるのだと思います。

これから仲間になる方へ

研究で培った力をビジネスの現場へ

理系で培った仮説思考や課題発見の力は、営業になっても確かな武器になります。

専門分野にそのまま進むだけが理系のキャリアではありません。

技術とビジネスの間で、「誰のために、どんな価値を生みたいか」を起点に挑戦できるフィールドが、デンソーの営業にはあります。