Interview

進化し続ける電動化の最先端。領域を超えて最適解を求め続ける

高橋

職種:開発・設計
部門:パワーエレクトロニクス技術部門
専攻:工学部 マテリアル工学科

技術と雑談が交差し、プロジェクトが前進する

私は、入社から現在まで一貫してインバーターの設計開発を担当しています。インバーターとは、クルマに搭載される電池の直流を、モーターを回すための交流へ変換する装置のことです。EVやハイブリッド車の急速な発展に合わせて進化が求められる分野であり、日々新たな知見が得られることにやりがいと難しさの両方を感じながら取り組んでいます。

もともと大学ではマテリアル工学を専攻し、就職活動の初期は化学系メーカーを中心に見ていました。ただ、研究テーマが電気・半導体寄りだったことから、「電機系メーカーでも専門性を活かせるのではないか」と考えるようになり、そこからデンソーも候補に入ってきました。

さまざまな企業のデータを比較検討する中で特に印象的だったのが、デンソーの国内トップ10に入る研究開発費の大きさです。また、売上高に対する研究開発費の割合も非常に高く、技術投資に対する本気度を感じましたし、技術力を重視したいという自分の価値観とも合致していました。また、出身地である静岡に近いエリアで働けそうだった点、事業領域が広く自分に合う分野を見付けられると感じた点も魅力に映りました。

条件面も考慮したうえで、最終的にデンソーへの入社を決めた一番の理由は、個別説明会やリクルーター面談、工場見学、懇親の場などで感じた会社の雰囲気です。仕事が始まれば会社の人たちと過ごす時間は長くなるので、どんな社員が働いているのかは特に気になっていました。実際に話してみると、どの場面で会う方も総じて物腰が柔らかく、自分と近い空気にも感じられて、一言でいえば「仲良くなれそう」と思いました。チームとなり、一緒に何かを成し遂げる姿が最もイメージしやすかったのがデンソーでした。

入社後、その印象は想像以上に実態に合致していたと実感することとなりました。特に、多くの部品から構成されるインバーターの設計開発においては必然的に他部署との連携が多く、立ち話や雑談も含めて日常のコミュニケーションが非常に活発です。何でもない雑談から自然と技術の話に繋がり、実物に触れながら議論できる文化があり、これは会話を通して物事を前に進めることが好きな私のスタイルにも合っていました。技術への真摯さと、人と人との繋がりを大事にする文化。その両方に魅力を感じてデンソーに入社した判断は間違っていなかったと思います。

フォーマットがまだないインバーター領域の面白さ

入社して最初に任されたのは、インバーターの中の銅バスバーという小さな構成要素です。一見するとシンプルな部品ですが、インバーター全体の性能を向上させるという観点においては、更なる形状の最適化を探る余地がまだまだあると言えます。たとえば、電流が通るループが小さくなるように板厚や曲げ方を工夫したり、プラスとマイナスの導体同士を近付けて配置することでインダクタンスを下げ、ノイズの発生を抑えたりなど、挙げ出すとキリが無いほどです。若手の段階から、主体的にアイデアを反映できる醍醐味を感じられる開発でした。

ただ、実は私自身が当初からそのような面白さを見出せていたわけではありません。転機となったのは、研修を終え、配属から半年ほど経った頃のこと。指示された通りに実験を行い、そのまま結果だけを持ち帰った際、上司から「その結果で目的は達成できているのか」「その場で追加試験を考え実施するべきだったのではないか」と問いかけられました。その瞬間、自分が単なる作業者の思考にとどまっていたことに気付かされ、そこからは目的を理解して能動的に考える姿勢へと大きく切り替わりました。これは、現在も大切にしている価値観であり、大きな学びになった出来事です。

4〜5年目には複数の部品を束ねたサブアッシー(中間組立品)を担当するようになり、7〜8年目からは、インバーター全体を取りまとめる立場へ移りました。構造、電気特性、放熱、製造性など多様な観点を統合し、多くの関係部署と連携しながら全体設計をまとめ上げる役割です。さらにここ数年は社内の制御チームやソフトウェアチームと密に協働する機会も増え、視野をより広げる経験を積むことができています。

特にインバーターという領域は、電動化の最先端領域であることから既存のやり方をそのまま適用できる場面はそう多くありません。「いつも通りでいい」ではなく、常に新しい構造や考え方を模索し続ける必要があります。小さな部品にも改善の余地があり、全体を見ると数えきれない改善の余地がある。加えて幅広い知識が求められるため、システムからハードまですべてを理解することは、今までの技術者としての10年の経験だけでは到底足りず、定年までかかってもすべてを極めるのは難しいほど、奥の深い領域です。

フォーマットを与えられるのではなく、自分たちでつくり出していく必要がある領域だからこそ、若手のうちから主体的に挑んで成長することができます。そして、この挑戦を支えてくれているのがデンソーの風土です。誰もが「いいクルマをつくりたい」という想いで協力してくれる文化が根付いているからこそ、若手から安心して挑戦し続けることができたと感じています。

“引っ張る力”と“巻き込む力”を日々培う

印象深いのは2024年夏、国内向けインバーター案件を担当した際、e-Axle(インバーター・モーター・ギアなどの主要部品がまとまった駆動ユニット)の小型化を実現するために約2週間の合宿を行ったことです。

車両全体における各部品配置がほぼ固まっていたものの、インバーターのスペースが極端に狭く、搭載が難しい状況でした。当然ながらインバーター小型化にも限界があるため、インバーター以外の車両周辺部品も巻き込んで限界を追求する必要があると考え、関係者で顔を合わせながら議論する場を設けることを提案しました。

実際に、自動車メーカーの拠点に関係者が一同に集い、合宿という形で集中的に検討をすることになりました。合宿中は車両モデルを前に各担当者と議論を重ね、全体最適の観点に立って空間の使い方を根本から見直しました。各部品の体積は変えずに形状や突出方向を変えて相手側の凹みに収める、いわばパズルのように調整を行う考え方です。

図面をメールでやり取りしているだけでは難航していた議論が、全員でモデルを見ながら協議することで「これならいける」と話が一気に前に進みました。即時に判断し、すぐ検証し、また議論する。そのスピード感は、現地合宿ならではのものでした。

この合宿で強く感じたのは、“引っ張る力”と“巻き込む力”の大切さです。引っ張る力とは、課題の整理や議論の方向性を示す力。巻き込む力とは、相手の事情や制約を理解しながら、一緒に最適解に向かって進む力です。関係者は全員「良いクルマをつくりたい」という想いは同じであり、こちらの説明に理解を得ることができれば、一緒に取り組んでくれるという信頼と情熱を感じました。

私は、「自分の担当はここまで」「ここから先は相手の領域」と線を引くようなドライな姿勢よりも、良いクルマをつくるために障壁をなくして、持ちつ持たれつで協力する姿勢が大切だと考えています。ただし、それがそう易々と実現できるわけではありません。だからこそ、小さなところから関係を築くことが重要であり、日々の積み重ねがこうした局面で効いてくるのだと学んだ経験でした。

日常的にも、私は“まずありがとうから始める”ということを意識しています。資料作成のアウトプットや報告を受け取った際は、いきなり指摘から入らず感謝を伝える。スケジュールを詰めすぎずフロアを歩き、自然に声をかける。これらは上司の姿を見て取り入れた姿勢なのですが、デンソーの全社的な文化でもある“垣根を超えたチームワーク”を形成してきた要素でもあるはずです。
そうした小さな積み重ねが相談しやすい雰囲気を生み、ひいてはより良いモノをつくるために一致団結できるチームをつくると信じています。実際に取り組む中で、着実にメンバーからの能動的な相談件数も増えていて、手ごたえを感じています。

境界を越えて学び、より幅広い技術力を身に付ける挑戦を、デンソーならではの環境で

デンソーには、若手の声を聞き入れながら、さらに自らが主体的に考え行動することを促す環境があります。思えば、入社してすぐの配属前面談から「電気・機械の領域に携わりたい」という私の希望に沿って配属してもらえたのが今の部署でした。また配属直後から上司は私の意向を汲み取り、「どこまで自分で考えたいか」を見ながら仕事を任せてくれました。入社4年目には、自分が担当したい部品に手を挙げ、従来と異なる製造方法を採用するためにベトナム工場での生産立ち上げに携わり、年に3回現地へ出張をする機会もありました。

配属から半年で経験した「作業者から脱却しよう」という気付きがあって以来、目的を理解して主体的に動く姿勢を実践し続けてこられたのは、周囲が背中を押してくれる環境もあったからだと感じています。また社内には多様な専門性を有する人がおり、わからないことがあれば自然と助け合える関係性があります。立ち話から技術議論へ発展するような風通しの良さは、デンソーならではの魅力です。

今後はハード設計だけでなく、制御・パワーモジュール・車両側・モーター側など、より広い視点から全体最適を考えられる技術者を目指しています。インバーターは多くの機能部品を組み合わせた製品で、どれか一つの視点だけでは十分な提案ができません。各領域のコア技術の考え方を理解したうえで、相手にも自分にもメリットのある提案を先回りして出せるようになると、全体の設計をさらに強くできると考えています。

インバーターという、まだフォーマットが固まりきっていない領域で課題に取り組むことは常に挑戦の連続です。しかしその分より良いモノをつくれる余白が多く、若手でも主体的に挑戦しながら成長できます。そして課題に対して互いに助け合いながら解決に向かえるチームにも支えられています。終わりのない領域で日々学び、新しい知見を積み重ねながら成長していくことを楽しんでいきたいです。

これから仲間になる方へ

「一緒に働きたい」と思われる人を目指す

デンソーの魅力は、挑戦できるフィールドが広いことです。だからこそ社内で多くの選択肢に挑めますし、若いうちから多くの人と関わり主体的に動ける環境があります。

学生時代は特別な知識よりも、人と話し、経験を重ねることが大切です。

最終的には「この人と働きたい」と思われる人になることが仕事の力になるはずです。