「保障する」という言葉に、本気を感じた
入社のきっかけは、求人票に書かれていた一文でした。
「障がいの有無を問わず、同じ職場、同じ業務テーマ、同じ処遇で働く機会を保障する」。
これまで転職活動のなかで、さまざまな障がい者採用の求人を見てきましたが、障がい者採用の条件が一般の採用とは異なることを当然のように感じていました。”条件が違うのは当たり前”という空気が漂う求人票のなかで、「保障する」と言い切る企業は、なかなかありません。この一文はひときわ目を引きました。
前職はIT企業で、その前は20年近く寝具メーカーで営業・商品企画・EC販促などに携わってきました。前職の仕事内容にやりがいは感じていたものの、継続的な通勤負担が避けられないことから、長く働き続けられるか懸念がありました。「より多様な働き方ができる企業で働きたい」。そう考えて転職を考えていた際にデンソーのことを知り、希望する働き方や条件と合致していたため、興味を持ちました。自動車部品メーカーであるデンソーで、自分の経歴を活かせるポジションがあるのか半信半疑でしたが、まずはカジュアル面談に申し込んでみました。
面談担当の人事の方がとても明るく、まさに”カジュアル”な雰囲気で接してくれました。「鈴木さんにマッチする仕事を一緒に探しましょう」と言っていただき、後日、「鈴木さんのご経験を活かして、チャレンジできる仕事があります」と連絡をいただきました。求人票の言葉がただのうたい文句ではなく、その姿勢が選考プロセスにも表れていると感じ、「この会社なら、自分のキャリアを本気で考えてくれる」と確信しました。
もう一つ、採用面接で印象的だったやり取りがあります。最初に聞かれた質問が、「地震や災害が起きた際、高層階から階段で避難することは可能ですか?」というものでした。能力や経験を問う前に、”どのような環境で、どのように働けるか”を確認してくれる。障がいのある社員がパフォーマンスを発揮できる環境をきちんと整えているんだと感じた瞬間でした。
デンソーでは約700名もの障がいのある社員が働いており、障がいのある社員が働きやすい環境がしっかりと整備されています。私が関わった部署の方々はみな、私を”障がい者”として特別視することなく、ごく自然に接してくれます。上司や同僚との1on1では毎回、体調や業務上の困りごとを必ず確認してくれる。無理をする必要も、遠慮して隠す必要もありません。ありのままの自分で、一人の社員として力を発揮できる環境がデンソーにはあります。
前例のない仕事に、自分の経験をぶつける
現在担当しているのは、デンソーが所有する福利厚生施設『D-Square』のファシリティマネジメントと販促です。ファシリティマネジメントにおける私たちの役割は、誰もが安心して過ごせる、安全で快適な環境の維持です。建物の修繕・設備更新の計画立案から、外部パートナーとの連携・交渉まで幅広く対応しています。一方、販促では、施設を知ってもらう・来てもらう・再び利用してもらうことを目的としたさまざまな施策を実施しています。販促業務は過去に実務経験があり、特にWebマーケティングやデータ分析は私の得意領域です。マップの口コミ機能やグルメサイトなどのデータを分析しながら掲載内容を改善、社内外の集客を強化するのはもちろん、施設の体験価値向上に活かす取り組みを進めています。
チームは管理職含め5名という小規模な体制です。また、この施設はデンソー内でも前例が少ない事業であり、特に販促については確立された手法があるわけではありません。少人数だからこそ、それぞれが自分自身の強みを発揮する必要がある。私がこれまで培った販促・企画・データ分析の経験を、そのまま武器にできると感じています。
入社後、最初に「やってみよう」と手を挙げたのが、イベント時のWeb中継の仕組みづくりでした。
刈谷市で開催される飲み歩きイベント『カリアンナイト』に合わせて、館内のライブ会場で行われる演奏を、各レストランの客席からもリアルタイムで視聴できるようにしたい。これはチームが長年抱いてきた構想でした。音響と映像を同期させた中継は技術的なハードルが高く、何度も挑戦しては実現できなかったそうです。私自身これまで同じような経験があったわけではありませんが、「自分ならできるかもしれない」と思い、Web会議ツールのライブ中継機能を活用した仕組みを提案し、実際に構築しました。
当日、事前テストでは問題がなかった箇所でトラブルが発生する場面もありましたが、用意していたシステムを完璧に動かすことではなく、”来場者にリアルタイムの感動を届ける”という本来の目的に立ち返り、その場で最適な判断を柔軟に行いました。
結果として同時中継は無事成功。終わった後、チームのメンバーから「鈴木さんがデンソーに入社してくれたから実現できた」という嬉しい言葉をもらいました。前例のないこと、自分自身経験がないことでも挑戦し、成功に導く。その達成感と成長実感は、入社後初めて味わう大きなものでした。
議論を尽くす文化のもと、施設の未来をつくる
デンソーの仕事の面白さは、”やりっぱなし”にしない文化と、目的とお客様への価値創出の視点で、”なぜ・なぜ”を徹底的に繰り返すという社風にあります。私がいる管理部門でも問題や検討すべきことが発生すると関係するメンバーが集まり、答えが出るまで徹底的に議論、試行錯誤を繰り返していくことをDNAレベルで大切にしています。メーカーとして細部を見落とさない、クオリティにこだわり続けるという姿勢を感じさせられる部分です。
『D-Square』では現在、施設としての在り方を根本から見直す取り組みを進めています。社員のための施設なのか、地域に開いた施設なのか。来年に迎える25周年を機に、コンセプトから再定義しようとしているところです。
私自身これまでファシリティマネジメントと販促として運営に関わるなかで、『D-Square』をデンソーのブランディングに繋がる施設にしたいという想いが芽生えてきました。再定義をいい機会と捉え、これまで以上に広報部門や人事部門との連携を深めていきたいと思っています。
デンソーは、「やりたい」「挑戦したい」という意思を示せば、かなり任せてもらえる環境です。会社からの期待に応え、自分が向き合いたいテーマについてはしっかりと発信する。これまでの経験とデンソーで学んだことを活かしながら、さまざまなことに挑戦していきたいと考えています。
見えない資産を、次の世代に残す
今、私が挑戦したいと思っているのは、”次世代に残る仕組みづくり”です。デンソーは自ら考え、現場起点で知見を蓄積し、自らが主体的に課題解決を進める風土がある会社です。だからこそ、業務が属人化して非効率になるリスクもある。外部から来た私だからこそ持てる俯瞰的な視点を活かして、業務全体の棚卸しや役割分担の整理をしていきたいと考えています。
当面の大きな課題として、施設開設から時間が経過するなかで、マニュアルや手順書を現状に合わせて充実させていく余地があり、これまでの経緯やノウハウが個人の経験に基づいて蓄積されているケースも見られます。担当者が変わっても誰もが過去の知見を活用できるナレッジ基盤を構築し、次の世代へ着実に受け継がれる仕組みを整えていきたいと考えています。
私は技術系の職種ではないため、手に取れる”製品”として残る仕事は少ないかもしれません。しかし管理部門の立場から、次の世代が安心して働ける仕組みや環境を整えることで、“見えない資産”を残すことができると信じています。
「会社が自分に何をしてくれるか」ではなく、「自分は社会や会社に対して何ができるか」。その姿勢で、社会と会社の双方に貢献していきたいと思っています。
入社前、デンソーは安定した企業であるがゆえに、裁量を持っていろんなことに挑戦できるのか不安に思っていました。実際に入社してみると、安定した土台があるからこそ新しいことに挑戦できる。それを、この1年で強く感じています。デンソーは、「やりたい」「挑戦したい」という意思を示せば任せてもらえる、現場レベルではかなり自由に動ける環境です。自分の経験を活かせるフィールドがたくさんあると日々感じています。