UXの力で、
モノづくりからコトづくりへの
進化を先導したい

李 昊舟Haozhou Li2020年キャリア入社
UXイノベーション統括室 所属

中国広東省出身。中国の美大を卒業後、2009年に来日。日本の美大でエクスペリエンスデザインを研究して修士号取得。その後、日本の大手総合電機メーカーに入社し、家電や車載機器のUX・UIデザインの経験を積む。2020年、UXデザイナーとしてデンソーにキャリア入社。現在はUXイノベーション統括室 担当係長(プロジェクトリーダー)として、社内UX基盤強化や、カーメーカー向けのUX企画・開発などに取組む。

07社員の実現したいこと

見た目が「キレイ」や「カッコいい」から
入ったデザインの世界。
しかし、ユーザーの体験をデザインする
「UX」の世界に出会った時、
カッコいいを超えた価値を感じた。
そして今は、UXのプロとして、
次世代モビリティのコトづくりに
取り組んでいる。

なぜ、そう思うのか?

中国で生まれた私は、子どもの頃から父の影響で絵画が好きだった。父は若かりし頃、絵を学びたいと切望していたが、時代のうねりの中、諦めざるを得なかった。だから、私には目一杯学ばせたいと思ったのだろう。私は自分の興味のある道を歩み、美術大学に進学した。

最初はグラフィックを専攻。見た目が「キレイ」で「カッコいい」ものをつくることに憧れ、イラストやロゴ、ポスターなどの制作をしていた。しかし、ある建築物の“サイン(案内表示や図記号)”の制作を手掛けたのをきっかけに、人に寄り添うデザインに興味を持った。生活の中に存在し、美しさも兼ね備えながら行動の拠り所となるサイン。ぱっと見ただけですぐに何かがわかる、“わかりやすい”デザインに、カッコいいを超えた価値を感じた。さらに深く調べていったところ、サインデザインの中で特に重視されている「UX(User Experience)」の世界に辿り着いた。

そして、もっとUXを学びたいと思い、私は日本の大学院に進学することを決意。当時、中国よりもその分野で進んでいたのが日本だった。UXの研究に没頭しつつ、人の基本的な行動パターンを知るために、人間工学や心理学にも取り組んだ。「これまでにない体験価値を多くの人に届けたい」、それが人生を歩んでいく上での自分自身のコアとなった。

なぜ、デンソーだったのか? どこに惹かれたのか?

大学院を卒業し、最初に就職した家電メーカーでもUXデザインの仕事に携わることができた。しかし、社会に大きなインパクトを与えられるような仕事に取り組めず、物足りなさと、「もっとダイナミックにやりたい」という思いが常にあった。その中で興味を惹かれたのが、自動車業界。100年に一度の大変革の時代と言われるなか、新しい競争ルールの中で生き残っていくために、従来の“モノづくり”から“コトづくり”へとシフトできるかがカギと言われていた。

そんな中デンソーが、コトづくりを強化するために、UXに着目した開発体制を構築しようとしているという話を聞いた。それを知って「ここだ。ここしかない」、と思った。自分のUXデザインの経験を発揮し、コトづくりからはじまるモビリティの大変革に携わることができる。まさに自分がかねてより追求したかったテーマをダイナミックにやれる場所だ、そう考え、転職を決意した。

デンソーに入社後、UXデザインのレベルの高さにショックを受けた。「デンソーのUXとは何か」が明確で、それを実現するためのプリンシプル(何を大切にするかを定めたもの)やガイドラインを作ろうとしていた。自分が知る限り、ここまでしっかり定義づけてUXに取り組んでいる日本の自動車業界の企業はデンソーだけだった。UXデザインを極めていきたい自分にとって、デンソーは最高な環境だと感じた。

今、そして、これから。何に注力していきたい?

これまでクルマは目的地に移動するための“手段”だったが、今後は、生活にかかせない“スマートデバイス”になる見込みだ。携帯電話からスマートフォンへの進化が私たちの生活に大きく影響を与えたのと同様に、クルマも大きく進化し、存在価値自体が変わっていくと思われる。移動中や乗車前後など、運転以外のシーンにおいても、私たちに新たな価値や多種多様な体験をもたらしてくれるだろう。

現状をみると、中国を含めた海外企業のクルマのUXは、日本よりも進んでいると感じる。日本もUXの領域で巻き返しを図らなければ、今後激しい競争の中で生き残っていくことは難しいだろう。デンソーがUXの先導者としての役割を担い、日本や世界をリードしていきたい。それくらいの強い気持ちで仕事に取り組んでいる。

ユーザーに寄り添った体験価値を創り出すために、私は“人間を見る”ことを大切にしていきたい。デザイナーがよく陥りがちなのは、自分の価値基準で「きっとこう使ってくれるだろう」と決めつけてしまうこと。結果、それで誰も使わないようなプロダクトが生まれることが多々ある。そうならないために、自分と価値観の違う人に積極的に出会い、ユーザーの真のニーズを見つけ出すために、しっかりと人間を観察することを心掛けている。実際に私たちは、ユーザーに被験者として参加してもらうテストを何度も開催し、行動パターンやニーズを見極めている。

働くなかで感じるデンソーの魅力は?

みんながオープンなところ、上下関係なく意見を言えるところが、デンソーらしさだと思う。実際に私がデンソーに転職してきた時、プロジェクトメンバーは自分をあたたかく受け入れ、遠慮なく会話や議論ができる環境を提供してくれた。また、意見が分かれた時は、上司含めて全員が率直な考えを言い合い、建設的に議論をしていける風土があった。そんなオープンなカルチャーの中で、今も居心地よさを感じながら仕事ができている。

加えて、世界向け車種のUXデザインに携わっているということもあり、海外とのつながりが多く、英語を使ってコミュニケーションする機会が頻繁にある。それも、自分にとって非常にエキサイティングな毎日につながっている。

グローバルな視点で、未来のモビリティのUXを作りたいと考えている方は、ぜひデンソーにと思う!ここには、ほんとうに刺激的な日々があるから。