日常を壊さない
世界をつくりたい

小口 貴弘Takahiro Koguchi2017年キャリア入社
AD&ADASシステム技術部 所属

幼少時代からゲームやプログラミングに慣れ親しむ。学生時代は量子力学やカオスシミュレーションを専攻。2007年新卒でゲームメーカーに入社。ゲーム機開発を中心にGPUやグラフィックス、画像処理関連の研究開発に約15年間携わった後、デンソーへキャリア入社。前職で培った仮想環境での研究開発技術を活かして、自動運転や先進運転支援システムの先行開発などに携わる。

01社員の実現したいこと

24歳のとき大事故にあい、重傷を負った。
日常をなかなか取り戻せない、
そんな自分にしたクルマを憎んだ。
その彼が今、
最前線で自動運転に挑んでいる。
それは、自分の過去を自分で乗り越える
そんな真っ直ぐな思いからきている。

なぜ、そう思うのか?

2009 年入社 沖 直人(おき なおと)

24歳のとき。友人の運転するクルマに乗っていた際に大事故にあった。奇跡的に命は助かったが、その事故がもとで脳脊髄液減少症に。寝たきりも覚悟した。自分ひとりだけでは生活ができなくなるかもしれないとも考えた。自分の運命を、そしてクルマそのものを恨んだ。そんななか、効果は保証できないと医師から告げられたブラッドパッチという手術を受け、本当に運良く、日常生活や運動ができるまでに回復。一度は終わったかと思った人生、それまで以上に夢中になって、なにかに打ち込もうと決めた。

その後は、ゲーム機の先行開発に取り組んだ。高性能VR対応ゲーム機など、世の中にインパクトを与えるいくつものプロジェクトに携わり、ゲームに関する技術を磨き続けてきた。そして、ある程度の年数が経ったころ、自分は何がしたいのか、何に貢献したいのか、を考えるようになった。自分の強みを生かして、もっと世の中に役に立つことをしてみたい、という気持ちが強くなっていた。

そこで、出会ったのが自動運転開発。もし自動運転機能がすべての車に搭載されていれば、私のように苦しむ人がいなくなるのではないか。一度は恨んだクルマという存在を変えていけるかもしれない、そう思った。

なぜ、デンソーだったのか? どこに惹かれたのか?

ゲームメーカーで先行開発に取り組んでいたが、今後を考えたとき、メモリ性能がボトルネックとなり、性能向上や劇的な変化をなかなか見いだせずにいた。そんな折り、デンソーに入社していた元同僚から、「デンソーで数十人の自動運転先行開発チームが立ち上がって、新しいことをやろうとしている」と聞いた。自分が携わってきたゲーム技術が役に立ちそうだ、とワクワクした。

正直、クルマだけが今の時代に見合ってないと思っていた。センサーもプロセッサーもインフラも整っているはずなのに、なぜか遅れている。ちょっと間違えれば事故が起きるし、死ぬことだってある。そもそも運転は面倒だし、疲れるし。これが改善されると世の中が格段に便利になる、そこで自分ができることがあるはずだ、と思ったのが大きい。根底には、自分の事故の経験がやっぱりあったと思う。

30代後半での転職。自動運転、その先の未来の実現に、自分を賭けてみたいと思った。

今、そして、これから。何に注力していきたい?

ゲーム技術をクルマに応用するにあたり、一番注力したいところは、検証評価で安心・安全を保障する部分。これが今後、自動運転開発における重要な切り札になるだろうと思っている。

自分が実際にデータ計測を行った時の例だが、現実の実験環境では10人のエンジニアが2週間かけて2〜3件のデータを取るのに対し、ゲーム技術を応用した仮想環境では、2週間で10万件のデータを取得することができた。現実環境を完全に再現できる訳ではないため実用化へのハードルは高いが、膨大なデータ量が必要な自動運転開発において、省コストで効率的にデータが取得できる仮想環境での検証評価は、今後必須となってくるだろう。

それ以外にも、ディープラーニングを用いた新機能の開発や、CG技術を生かしたクルマのUI・UXの向上など、ゲーム技術を応用できる可能性はまだまだある。これからも新しい取り組みに挑戦し続けていきたいと思う。

働くなかで感じるデンソーの魅力は?

デンソーの文化は、ゲーム業界とは真逆。前職は多少風変わりな人でも、定期的に良いアウトプットが出せれば評価されていた。一方デンソーでは、全員が理解し、納得し合うまで議論を尽くして、レベルの底上げをする。その根底には、人の命を預かる仕事であるがゆえの、安心・安全への強い責任感がある。日本のクルマ業界が世界でもピカイチであり続けてきたのは、このあたりのカルチャーが影響しているのではないかと、転職組でよく話した。

ただ、今後、それだけでは生き残っていけない。他業界がクルマ分野に新規参入してきている中、より高機能なクルマを求める声が増えてきている。そういった変化にも応えていかなければならない。

これからは、安心・安全を担保する”守り”の姿勢と、変革を起こす”攻め”の姿勢、両方が必要になるだろう。それらの両立は難しい。ゲーム業界とクルマ業界、両方の全く異なるカルチャーを体験してきた私だからこそ、そう感じる。しかし、デンソーはいま、”守り”と”攻め”を融合した新たなカルチャーを築いていこうと、社運をかけて取り組んでいる。課題や環境変化に対して「みんなで変えていこう」という風土も、デンソーらしさと言えるのではないだろうか。

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