個人インタビュー 半導体の全工程を知ることで、自らキャリアを選択できる技術者に

Profile

道下

職種:開発・設計

所属:アナログ半導体開発部門

前職(業界): 電機メーカー

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電動化が進むクルマの中で、電池を安全かつ効率的に使うための“電池監視IC(集積回路)”。その製品開発の最前線でチームを率いるのが、2014年にキャリア入社した道下です。前職で電源ICの回路設計に約9年半携わってきた道下は、なぜ半導体専業メーカーではなくデンソーを選んだのか。半導体の設計から製造、製品への搭載まで幅広く関わる中で広がったキャリアと、モビリティの進化を支えるやりがいを聞きました。 

電源ICの回路設計で、9年半かけて専門性を磨く

前職では2005年から約9年半、携帯電話向けの統合電源ICや汎用電源ICの開発に携わり、おおむね1年に1製品のペースで、製品ごとに性能を進化させ、次々と量産化してきました。

短いサイクルで開発と量産を繰り返す中で、設計したものを次々と世に送り出せる面白さがありました。また、ICやスイッチング電源の技術だけでなく、性能とコストの両面から製品を考える視点も培われました。

回路設計の専門性を磨く一方で、回路を作るだけで終わらず、それが最終製品でどんな価値を生み、世の中にどう貢献するのか。その先まで関わりたいという気持ちが強くなっていきました。

当時の職場では分業が進んでおり、与えられた要求に応えることが中心でした。回路設計の専門性を磨く中で、次第に関心はその先へと広がっていきました。与えられた要求仕様を満たすだけではなく、その先にいるお客さまが何を求め、ICが最終製品でどんな価値を生み出すのかまで知りたい。その思いが、新たな挑戦へ踏み出すきっかけになりました。

半導体を内製するデンソーで、最終製品に必要な価値から逆算して仕様を考える

転職活動を始めた頃は、半導体専業メーカーを検討していました。そんなとき、転職エージェントから「デンソーが半導体を内製している」と聞きました。半導体だけでなく、その先の製品まで関われる。自分が求めていた環境かもしれないと、興味を持ったのがきっかけです。 

デンソーは1968年にIC研究室を発足させてから、長年にわたり車載半導体を内製し、ICからECU(電子制御ユニット)、クルマのシステムまでを垂直統合で手がけています。社内の関係部門と連携しながら、クルマに必要な価値から半導体の仕様を考え、自ら製品を企画し、量産まで一貫して責任を持てると初めて知りました。この話を聞いて、前職で培った回路設計の専門性を活かしながら、その先のクルマまで見届けられる。ここなら自分がやりたかったことに挑戦できると感じ、入社を決めました。 

民生品と比べると車載半導体は開発期間が長く、品質要求の水準も高い分野です。だからこそ一つの技術に腰を据えて向き合えますし、一度採用されたICは長く使われ続け、クルマや社会の価値向上に貢献し続けることができます。さらに、人の安全を支える車載半導体だからこそ求められる高い品質に挑戦し、設計者としての領域を広げたいと考えました。 

入社後は、回路設計の経験を起点に多くの専門家と仕事を進める中で、車載品質の考え方や開発プロセスへの理解を深めてきました。車載半導体では、クルマ全体のノイズ対策や安全性への高い要求が、ICの仕様に直接反映されます。さらに長期供給やコスト、生産性も同時に満たす必要があり、関係する部門ごとに重視する条件があります。車載半導体は、IC単体の性能だけを追求すればよいわけではありません。クルマ全体の安全性やノイズ耐性への要求を踏まえ、クルマやシステム、品質など幅広い関係者と議論しながら、製品全体として最適な仕様を作り込んでいく必要があります。さまざまな要求をすり合わせ、一つの製品として成立させていく。そこに、車載半導体開発ならではの面白さがあります。 

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電池監視ICで、クルマの要求を技術に変える

現在はアナログ半導体開発部門で課長として、電動車向けの電池監視ICの製品開発をマネジメントしています。電池監視ICは、BEV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)に搭載されるリチウムイオン電池の状態を高精度に監視し、過充電などのリスクから電池を守りながら、安全かつ効率的に使うための半導体です。私たちは、次世代技術の検討から製品開発、品質・検査設計までを一貫して担っています。 

前職との大きな違いは、お客さまである完成車メーカーの声を直接聞きながら開発できることです。社内のECU開発部門、製造部門、品質保証部門、さらに外部の半導体メーカーや研究開発組織とも連携し、お客さまがクルマで実現したい価値をICの仕様へ落とし込んでいきます。例えば電池電圧の測定精度について、ECU開発部門から求められる数値に対し、今の技術で実現できる範囲を示しながら「お客さまにより大きな価値を届けるために、ここはさらに上を目指しましょう」と議論します。高い性能や安全性・信頼性に加え、ノイズ対策、長期供給、コスト、生産性を同時に成立させる設計に、正解は一つではありません。だからこそ、ICとECUの開発部門が目標を共有し、ICの専門性をクルマの価値に直結させられる点に醍醐味があります。 

電動化が加速する中、私たちの役割は、求められた仕様を満たすだけではありません。お客さまが次のクルマで実現したい価値を捉え、それを先回りしてICとして形にしていくことが重要です。 

“良い回路”だけでは製品にならないと知った

前職では業務の8〜9割が設計でしたが、デンソーではICの企画から製造につなぐ直前まで幅広い工程を任せてもらえます。入社当初は設計の範囲で要望に応えることが中心でしたが、車載品質を満たし、コストを最適化し、量産まで安定して作れる製品にするためには、仕様の決定から製造、品質保証まで全工程に関わる必要があります。そこで、自分の専門領域だけで答えを出そうとせず、開発の早い段階から各分野の専門家を巻き込み、一緒に答えを作る進め方に変えました。

「クルマではなぜその確認が必要なのか」という考え方や判断軸まで学び、専門家に問い、自分なりに掘り下げ、実務で使う。その繰り返しによって、設計だけでなく製品全体を見て判断できるようになりました。

半導体の全工程を見渡して、製品全体で考えられるようになったと実感したのが、以前担当した、インバーター向けゲートドライバーICの開発プロジェクトです。このICは、電動車のモーターを回すインバーターのパワー素子をオン・オフ制御する、電動車の駆動を支える部品です。ECU全体で機能とコストを最適化するため、システム部門とIC仕様を固めるところから始めました。お客さまにより良い製品を届けるには、自社の技術だけにこだわる必要はありません。必要な技術や強みを持つパートナーと組むことも、最適な製品を作るための選択肢です。そこで、新たな半導体メーカーと協業し、量産化に取り組みました。

このプロジェクトで初めて、協業先で製造したICを自社ブランドで世に出すことになりました。大切なのは、どこで作るかではなく、お客さまに安心して使っていただける製品として成立させること。そのためには、協業先と品質や製造の仕組みそのものから作り込む必要がありました。課題は二つありました。一つは、出荷前の検査で良否を判定する基準をはじめ、両社で品質の考え方が異なること。もう一つは、製造や商流の仕組みを新たに整える必要があったことです。

そこで、パッケージ、プロセス、品質保証、工場の各担当者と協業先のキーパーソンを早期に巻き込み、テーマごとのワーキンググループで責任分担を明確にしました。実務者同士で粘り強く合意点を探った結果、双方が納得できる品質保証と量産の仕組みを構築し、デンソーブランドのICとして送り出しました。良い回路を設計するだけでは製品にならず、品質・製造・商流まで一体で考える必要があること。それが、半導体の全工程に向き合ったからこそ得られた学びです。

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半導体の全工程で得た知識を土台に、キャリアを自ら選ぶ

アナログ半導体開発部門では、回路・デバイス・検査など特定分野を極めるスペシャリストと、企画から量産まで幅広く担い製品や事業を牽引するジェネラリストのどちらの道も選べます。部門内の割合はおおむね半々で、本人の志向を踏まえ、上司との対話や役割付与、ローテーションを通じて方向性を定めていきます。専門家との連携が欠かせない開発では、尖った専門性ほど付加価値の高い製品につながり、どちらの道も重要な役割を担います。 

入社5年目頃から、「自分の回路」だけでなく「製品全体」に責任を持ち、関係者と一つのものを作り上げたいと考えるようになりました。そこから、専門性を軸にしながら領域を広げ、ジェネラリストとしてのキャリアを意識するようになりました。こうした経験を重ねる中で身についたのは、回路を正しく設計する力に加え、「何を作るべきか」を考え、製品として価値を成立させる力です。この経験は現在のマネジメントにも活きており、課題がどの工程で表れても影響範囲を見渡し、必要な専門家を早期に巻き込めます。 

働き方の面では、業務やチームの状況に応じてテレワークやフレックス勤務、休暇を活用できます。制度があるだけでなく、育児や介護、通院など一人ひとりの事情に合わせて、業務の進め方や役割分担を柔軟に調整しており、腰を据えて長く働けます。 

今後は電動化・知能化の先にあるクルマの姿を見据え、お客さま自身もまだ気づいていない価値を、次世代の車載アナログ半導体から提案していきます。 

私自身がそうだったように、最初から幅広い知識を持っている必要はありません。一つの専門性を起点に、仲間と領域を越えながら、自分の技術でこれからのクルマに新しい価値を生み出していく。そんな挑戦を楽しめる方と、一緒に働きたいと思っています。アナログ回路設計の経験があれば、どの分野の出身でも活躍の場があります。社内外の専門家と力を合わせ、半導体から、これからのクルマの価値を一緒に作っていきましょう。

これから仲間になる方へ

自分の技術がクルマの価値になるまで見届けよう

デンソーでは、完成車メーカーやシステム部門に近い立場だからこそ、これからのクルマに何が求められるのかを捉え、そこから必要なICを考え、企画・設計から量産まで一貫して携われます。「要求の背景まで踏み込んで考えたい」「自分の技術がクルマや社会の価値につながるところまで見届けたい」。そんな思いを持つ方と、これからのクルマを支える車載半導体を一緒に作っていきたいです。