海外拠点と共に形にする、インバーター量産設計の仕事
私が所属する部門では、海外向けインバーターの量産設計を担当しています。量産設計とは、試作を終えた製品を大量生産していくために必要な設計のこと。サプライヤー様と協力しながら、量産を想定した部品の形を決め、図面化するのが主な役割となります。この仕事で求められるのは、設計の技術力だけではありません。低コスト化や効率化の観点から、製造や部品調達は海外拠点で行われるため、アメリカ・中国・欧州など各国のスタッフと連携しながら仕事を進める必要があります。国や地域によって基準や価値観、仕事の進め方が異なるため、海外拠点の設計者、現地サプライヤー様、日本の設計担当者の三者間で丁寧なすり合わせを行うことが、プロジェクトを円滑に進める鍵だと考えています。
その中で、私はある海外顧客向け製品の統括リーダーを務めています。2人のサブリーダーと共に、自動車メーカー様や各拠点から寄せられる要求を整理。全体のシナリオを描いた上で、部品や機能ごとにチームメンバーへ業務を割り当てていく仕事です。現地サプライヤー様への仕様要望の伝達をはじめ、海外拠点との共同設計、さらには社内の関連部署や各分野の専門家への設計仕様の協議など、立場や役割の異なる多くの関係者と連携しながら、プロジェクト全体を推進しています。
仕事を進めていく上で欠かせないのが、各拠点との丁寧な意見交換です。同じ自動車メーカー様であっても、生産拠点が異なれば考え方やスタンスは大きく異なります。そのため一つずつ目線を合わせながら課題をクリアしていく必要があることに加え、海外のお客様とは直接会う機会が限られる分、言葉だけに頼らない工夫も重要です。図や絵を使って視覚的に共通認識をつくりながらコミュニケーションを取ることを意識しています。
チームワークで高水準の仕事を成し遂げる
私はデンソーに入社して以来、一貫してインバーターの量産設計部門で仕事をしてきました。その中でも最も印象深い仕事といえば、初めて海外自動車メーカー様向け製品のプロジェクトに携わったことです。そのプロジェクトでは求められる品質の水準が非常に高く、技術的にも未経験の領域でした。お客様のルールや慣例も分からない中、手探りで開発を進めていくことに。しかし、そのとき心強い存在となったのは、既にその自動車メーカー様と取引のあった社内の別部署の方々。惜しみなく情報を提供してくれ、プロジェクトの成功を後押ししてくれました。あらゆる分野で先駆的な仕事をしてきたデンソーの強みを改めて実感する機会になりました。
このエピソードにも表れている通り、チームワークを重視する風通しの良さも、デンソーの特徴と感じています。上司からは「問題が起きたらすぐに報告するように」と言われており、何か問題が起きても、役員クラスまで1日で情報が伝達されるようなスピード感があります。今の時代は、この“スピード感”こそが良い成果に繋がるので、部署全体でスピーディに連携する意識が高まっているように感じます。
研究知見を活かすための企業選び。最後の決め手は“人”だった
学生時代の就職活動では、システムエンジニアと自動車業界に的を絞って、10社程度の選考を受けていました。愛知県出身の私には「地元の企業で働きたい」という気持ちもあり、最終的には愛知に拠点が集中している自動車業界を選ぶことに。数ある企業の中からデンソーを選んだのは、学生時代に取り組んでいた“画像を用いた表情検出の研究”がきっかけです。先進運転支援システム(ADAS)の部署がデンソーにあることを知り、「ここでなら自分の研究知見を活かせる」と感じたことが、入社の決め手となりました。
同様の領域に取り組む部署は他社にもありましたが、最終的な判断材料となったのはデンソーの“人”でした。面接官や案内役の方々がフランクで親切に接してくださり、「私が希望している部署の方々に、仕事について詳しく聞かせてほしい」と相談した際にも快く対応してもらいました。もちろん、実際に会った方々にも丁寧なアドバイスをいただきました。その一つひとつのやり取りが、「この人たちと一緒に働きたい」という気持ちに繋がったのです。そのときに感じた「デンソーには温かい人が多い」という印象は、入社から15年以上が経つ今も変わっていません。
自分の手がけた製品が、世界中で役立つ未来を目指して
一日の仕事は、海外拠点や社内部署、お客様とのミーティングが複数入るため、資料・図面作成やレビューに充てる時間を計画的に確保し、集中して作業を行えるように業務管理をしています。ワークスタイルはとてもフレキシブルで、在宅勤務の活用もしています。業務の合間に一度手を止め、家事を済ませたり子守をしたりなど、家族のための時間を取ることも多いです。一方で、量産設計の仕事は製品の実物を前にしなければ前進しない議論があることも事実です。そうした場面では出社し、チームメンバーと対面で意見を交わしながら効率良く業務を進めています。
この数年で働き方の柔軟性が拡大し、一人ひとりがより力を発揮しやすい環境が整ってきました。その中で、私自身は海外への販売拡大にますます力を入れていきたいと考えています。自分が携わったクルマが実際に道路を走る姿を目にしたり、クルマのボンネットを開けて「これ、自分がつくったものだ」と発見した瞬間の喜びは、何ものにも代えがたいものです。
自分の仕事が、日本だけでなく海外へと広がっていく。その実感こそが、私にとっての仕事のやりがいです。次の挑戦へ踏み出すための原動力になっています。