世界のモノづくりを支える調達の使命と、プロとしての視点
デンソーの生産活動は、数多くの部品や材料が途切れることなく供給されることで成り立っています。その基盤を支えるのが調達部門です。私が所属する部署では、原材料から生産設備、補助材料に至るまで幅広い領域を担当し、最適な取引先から適正な品質・コスト・納期で調達することが求められます。その中でも、私は鉄鋼材料の調達を担当しています。
調達の仕事は、単に適正なコストへ調整することではありません。品質と安定供給を両立することも非常に重要な要素です。もし部材が確保できなければ、デンソーの生産ラインだけでなく、自動車メーカー様の生産活動にも影響が及びます。だからこそ、私たちは常に市場動向を読み、リスクを先回りして管理する姿勢が欠かせません。
鉄鋼材料を担当する上で大切にしているのは、素材そのものへの深い理解です。鉄鋼の原料となる鉄鉱石の国際市況、世界の需給バランスなど、日々変化する外部環境を把握し、取引先様と対等に議論できる知識を蓄えることが重要です。
また、既存の取引先様だけでなく、新規開拓も重要なミッションです。国内外問わず、より良いパートナーを探し続けることで、デンソーのモノづくりをより強固なものにしていきます。
海外での原体験とグローバル企業で働く決意
私がグローバルに活躍できるメーカーを志すようになった背景には、幼少期の経験があります。親の仕事の都合で、小学2年生から4年間、アメリカで過ごしました。言葉も文化も分からない中、日本の文化や日本企業の話題をきっかけに周囲と打ち解けていくことができました。日本企業が世界で高く評価されている姿を見て、「自分もいつかグローバルに活躍する仕事がしたい」と思うようになったのです。
就職活動では、まず幅広い業界を知るために、商社や金融など多様な企業の説明会に参加しました。その上で、自分が本当にやりたいことは“日本の技術を世界に発信すること”だと再確認し、グローバルに事業を展開するメーカーを志望するようになりました。企業研究を進める中で、デンソーは世界中の自動車メーカー様と取引があり、世界の名だたる企業と仕事ができる存在であることを知り、強く惹かれたのを憶えています。
また、選考の過程で出会った面談官の方々の印象も、デンソーへの決め手となっています。落ち着いた雰囲気で、こちらの話を真摯に受け止めてくださる方が多く、「この会社なら自分らしく働ける」と感じました。入社して10年以上が経った今も、その印象は変わっていません。
入社後は多くの経験をしてきましたが、特に印象に残っているのがインド拠点での2年間のトレーニー経験です。現地で使用される材料の一部は日本から輸入されており、それらを可能な限り現地調達へ切り替え、インド拠点の価値を上げることが私のミッションでした。しかし、インドでは日本で当たり前だった商習慣や価値観が通用しない場面も多く、取引先様との調整は容易ではありませんでした。どこまで譲歩できるか、どこは譲れないか、文化の違いを理解しながら粘り強く交渉を重ねていきました。
品質確保のために現地の工場を訪問する際は、空路と陸路を乗り継いで長距離を何度も往復しました。最終的に無事ミッションを達成できたことは、大きな自信となり、今の仕事にも活きています。
柔軟な働き方と挑戦を後押しする環境が成長を支える
私の所属する部門に限らず、デンソー全体に浸透している“自由に意見を交わせるオープンな文化”が、若手の活躍を後押ししていると感じます。上司に対しても遠慮なく提案でき、疑問があれば気軽に相談できるのも特徴です。
また、働き方の柔軟性も魅力の1つです。私は週に2〜3日ほど在宅勤務を活用しており、有給休暇も年間15〜20日ほど計画的に取得でき、仕事とプライベートのバランスを取りやすいです。
こうした働きやすさと成長機会の両立が、デンソーの調達部門の大きな特徴だと感じています。安心して働ける環境があるからこそ、挑戦する意欲が湧き、より良い成果を追求できるのだと思います。
変化するサプライチェーンに挑む次世代の調達戦略を描く
調達の仕事を続ける中で、私は「目の前の課題を解決するだけでは不十分だ」と感じるようになりました。市場環境は日々変化し、サプライチェーンのリスクは年々複雑化しています。だからこそ、将来を見据えた戦略的な視点が不可欠です。
今後は、世界的な需給ひっ迫が想定される中で、リスクを最小化するための仕組み・戦略づくりに積極的に取り組んでいきたいと考えています。そのためには、新たなやり方に順応していく必要があると感じています。たとえば、オンラインでの工程監査もその1つです。“現地現物”が基本スタンスであることには変わりませんが、時代に合わせた仕事のやり方にも対応できるようにしておきたいです。
調達の仕事は、正解が1つではありません。だからこそ常に学び続け、柔軟に対応しながら、未来のデンソーを支える調達のあり方を自ら描いていきたいと思っています。
※記載内容は2022年時点のものです。