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生産技術

「移動時間」という概念のない世界を──加工と解析の技術でモビリティの可能性を広げたい

早川 昌汰Shota Hayakawa

先進プロセス研究部

  • 大学工学部機械工学科
  • 大学院物質・ものづくり工学専攻
  • 2020年デンソー入社
  • 2020年生産技術研究開発部 配属
  • 2023年1月先進プロセス研究部に名称変更

業務内容

先進プロセス研究部はどんなお仕事ですか?

先進プロセス研究部は、要素技術(素材、形状、加工など、製品の開発に必要な基本技術)のうち、主に加工技術の研究開発を手がける部署です。入社時から所属していた生産技術研究開発部が、2023年1月に現在の名称となりました。

デンソーではインバーターやモータージェネレーター、燃料電池など未来の自動車や暮らしに役立つ製品を幅広く開発しています。それらの製品を、低コストかつ最大限に性能を引き出すために製造方法の研究を行ったり、より改良を加えた次世代型新製品の開発を行ったりしています。

その中での早川さんの役割

私が所属する室では、主にレーザーを用いた加工の新技術を研究開発しています。レーザー加工は、金属同士を溶かして接合する溶接や、微細なバリやカエリの除去など、様々な用途で用いられますが、その中でも私が担当しているのは、微細形状を高精度に加工する技術です。

加工といえば刃物などの工具や型を使って加工する「機械加工」が一般的ですが、硬い素材やもろい素材、金属やセラミック、半導体材料などには適しておらず、万能な加工技術とは言えません。一方で「レーザー加工」は、どんな素材であってもミクロンオーダーの精度で加工ができるという大きなポテンシャルをもった加工技術です。そんな加工技術が実用化すれば、世界が変わる!そういう想いで研究開発に取り組んでいます。

相関図

これまでで一番印象的だったお仕事は?

関連部署とチームを組んで、新技術の新製品適用に向けて切磋琢磨したことが印象に残っています。開発者目線だけでなく、お客様目線での課題の特定や、実際に製品まで造りこんでの試作評価が行えたことは、私にとって大きな成果でした。

また、私たちが担当しているのは製品の一部分に過ぎません。製品全体を俯瞰する視点が身につき、他部署との連携を通じて開発を進める重要性を深く理解できたことは、非常に有意義な経験でした。

残念ながら、この新技術は最終的な適用には至らなかったものの、実現に向けて一歩手前のところまで検討を重ねられたことで、多くの気づきと学びが得られました。その過程で得た大きな達成感は、今後の挑戦につながる貴重な財産になっています。

働き方

職場環境や雰囲気はどんな感じですか?

上司サポートのもと、ある程度の裁量権が与えられているため、自分の意志で行動・判断できる環境があります。どのような実験評価をするかの判断や、大学などの社外研究機関への相談・連携など、私の裁量で仕事を進めることができます。それが積極的なチャレンジにつながり、成長を実感しやすい職場環境であると感じています。

また、年次に関係なく、自由に意見を交換できる風土があるのも職場の特徴です。上司と部下の関係はもちろんありますが、自分の現況や考えを上司と気軽に共有し、それに対して具体的なフィードバックを受けることができるのは、先進プロセス研究部の特色のひとつかもしれません。

ワークスタイルについて

私たちの業務は、実験をして結果を評価し、それをもとに次の実験へとつなげていくというサイクルで進められます。そのため、現在は出社しての作業が中心です。

ただ、当社ではフレックスタイム制度が導入されているため、悪天候の際等には、在宅勤務にするなど、自分で柔軟に調整できます。実験データの分析のように出社する必要がない作業は、在宅で行うことも。自由度が高く、とても働きやすいと感じています。

また、先進プロセス研究部では外部の研究機関や共同研究パートナーと実験評価や議論する機会がたびたびあるため、出張が多いのも特徴です。平均すると月に5日ほど出張していると思います。

スケジュール表

休みの日の過ごし方

リラックスする時間を大切にしているので、週末は昼過ぎまで寝ていることが多いですね(笑)。また、おいしいものを食べることが好きなので、最近は料理にも挑戦し始めました。ひとり暮らしをしているため外食が続いていて、食費がかさむと感じたことがきっかけでしたが、これが思いのほか息抜きになり、ストレス解消にもつながっています。ちなみに、いまハマっているのはエビのチリソース煮です。

また最近はあまり時間が取れていませんが、週末にゴルフを楽しむこともあります。コーヒーが好きなので、最近だと東京のスターバックスリザーブへ行ってきました!

就職活動

就職活動はどんな風に進めていましたか?

大学院の修士課程1年目の夏にインターンシップに参加したことを機に、「自分は将来どのような仕事をして、どこで働きたいのだろう」と深く考えるようになりました。その後、材料系メーカー、自動車関連系メーカー、ITサービス系のメーカーなどさまざまな企業の説明会やインターンに積極的に足を運び、職場の雰囲気を肌で感じたり、求められているスキルを学んだりしました。

実際に働いている人々との対話を通じて、自分自身の気持ちを確かめながら、希望する職場を絞り込んでいきました。

どうしてデンソーを選んだのですか?

私には、「移動時間」という概念のない未来を実現したいという夢があります。この夢を追い求める中で、自分の専門である加工技術やデータ解析技術を活かせる場所を探していました。そしてたどり着いたのが、自動運転に必要な多くの製品を製造し、なおかつモノづくりに特化した研究開発部署を持つデンソーでした。

そもそも「移動時間」の概念をなくしたいと考えるようになったきっかけは、大学の1年生のときに交通事故に遭って足を骨折したことでした。当時、スムーズに歩けないため、時間をかけて苦労しながら通学することとなったのですが、そんな日々を繰り返しているうちに「移動のためだけに使う時間をどうにか減らせないものだろうか」と考えるようになりました。

それを実現する上で鍵となるのが自動運転技術だと考えています。自宅前に待機する自動車に乗り込むだけで安全に目的地に到着できれば、移動中の時間を有効活用でき、「移動時間」は無くなると考えています。

入社後に配属されたのは志望していた部署。業務内容は、間接的にではありますが、自動運転につながっていますし、非常にやりがいを感じながら取り組んでいます。

仕事で役立ったスキル、入社後に身に付けたスキル

ExcelとPowerPointをよく使うため、学生時代に見やすいグラフ、わかりやすい資料の作成方法を学んだのが役に立っています。また、情報を効果的に伝える能力も非常に重要です。大学院で外部発表の経験を積んだことが、大きなアドバンテージになっていると思います。

入社後に身につけたスキルとしては、他人に頼ったり甘えたりすることでしょうか。どんな業務もひとりでは完結しません。周囲をうまく巻き込むことが、業務をスムーズに進めるための鍵になると感じています。

キャリアアップ

これから頑張っていきたいこと

まずは、現在担当している研究開発を完了させ、新製品への実用化につなげることをめざしています。また、大量のデータを分析する上で、データ解析の重要性を感じているので、プログラミングや機械学習に関するスキルを向上させていくことも目標のひとつです。

最後に、就職活動中の人たちにメッセージを!

焦らずに自分の気持ちを整理することが大切です。仕事を通じて自分が何をしたいのか、働く目的は何なのかを自問自答し、周囲との会話を通じて深く考えてみてください。
その過程で「将来、こうなりたい」「この分野にチャレンジしたい」といった具体的な願望が明確になり、自分の夢が形成されてくるはずです。自分の得意なことやスキルを整理し、それが自分の夢とどのように結びつくかを考えていけば、適した場所がおのずと見えてくると思います。
悩んだときには、それまであまり関わりのなかった分野をのぞくなど、視野を広げてみてもいいのではないでしょうか。いろいろな発見があって、自分の新たな気持ちに気づくことがあるかもしれませんね。