柴田 祐也(しばた ゆうや)
電子事業
デンソー電子事業で活躍しながら、有志活動B.R.A.S.A.S.(ブラサス)として 「人工衛星と放置艇リユースを活用した移動式養殖漁業」に挑戦中。
Interview
大切なことを教えてくれた、かけがえのない人々との出会い
高いマインドを持ち、仕事を楽しむ。上司の言葉を胸に、ハードウェア設計に携わる柴田 祐也。大学時代は化学を専攻し、2022年9月現在も技術者として高みを目指しキャリアを歩んでいます。今の自分があるのも周囲の人に支えられたおかげだと振り返る柴田が、これまでに出会った人のあたたかさと、そこから得られた気づきについて語ります。
柴田 祐也(しばた ゆうや)
電子事業
デンソー電子事業で活躍しながら、有志活動B.R.A.S.A.S.(ブラサス)として 「人工衛星と放置艇リユースを活用した移動式養殖漁業」に挑戦中。
まさか技術者として働くとは。大学時代を振り返ると、そう思います。
大学時代は化学を専攻し、リチウムイオン電池やナトリウムイオン電池の電極材の研究をしていました。
化学や素材は裾野が広い分野だと思い、大学では化学を専攻することにしました。しかし、大学の化学は、私が高校時代から苦手だった物理的な視点で捉えることも多々あり、すごく難しく苦手に感じた記憶があります。
いつの間にか、「自分は技術者には向いていない」と、早めに自分の限界を決めてしまっていて、心のどこかで逃げていたのかもしれません。
転機は、研究室配属でした。
研究活動にとても熱心な先生の下に配属され、厳しくも温かい指導のおかげで、ものづくりのおもしろさに少しずつ触れることができ、研究室に泊まり込むほど熱中しました。
今思うと、決して出来の良い学生ではなかったと思いますが、「伸びしろ」に期待して、いろいろと教えてくれたんだと思います。研究室の先輩方も、初歩的なところから丁寧に教えてくれたり、同期とはしようもないことで笑いあえたり、そういう日々の中で研究室の雰囲気に馴染み、また研究生活を通して、「ものづくりのおもしろさ」に気づくことができました。
また、日々の研究活動の成果を、学会で発表し、賞をいただくこともありました。自分の成果が認められた気がして、少しずつですが自信もついてきました。そうした日々の積み重ねで、いつの間にか「技術者として働くこと」をイメージしていたような気がします。
いざ就職のことを考えたときに、自分の携わったものが目に見えて実感できるメーカーに就職したいと思いました。中でも自動車業界なら、規模が大きくやりがいがありそうに思えました。一方で、当時は、化学系から自動車関係に就職された方が周りにあまりいなかったので、どれくらい需要があるのか気になっていました。
しかし、説明会を通じてデンソーのことを知り、「部品メーカーならば化学の知識を役立てることができるのでは……」 と考えたんです。
そして、エントリーしたインターンシップでの経験が、入社へとつながっていきます。
地元・兵庫から愛知へ初めて赴いたこともあり、とても不安でしたが、デンソーのメンバーはあたたかく私を迎え入れてくれました。OJT担当の方は、業務が終わった後に頻繁に食事に連れていってくれて、私の不安を取り除いてくれましたし、他にもたくさんの方から声をかけてもらえました。 デンソーの“人に対する優しさ”を感じたんです。
2022年9月現在は、モビエレ事業グループ エレクトロニクス技術1部で、ブラシレスFPC(Fuel Pump Controller、燃料ポンプを制御する電子基板)のハードウェア設計を担当しています。
ブラシレスFPCは、小規模な製品ということもあり、各人が広い範囲を担当している(制御・回路・筐体の各設計を1~2名程度)のが特徴です。すぐ隣の席の仲間が自分とまったく異なることをしているようなチームのため、技術的にも幅広く経験できる環境で、楽しく過ごしています。
ちなみに、現在担当しているのは筐体設計(ケース等の設計)です。樹脂や金属といった材料を使いこなすことが肝なので、図らずも大学時代の専攻分野と少し重なっていることに不思議な縁を感じています。
また、上司にも、「高いマインドを持って、仕事を楽しむ」ことを教えてもらいました。
高いマインドとは、他責・やらされ感ではなく、自責・自ら行動していくことで、たとえば、わからないことがあっても教えてもらえないときは、どう教えを乞うのか、と考え方を改めるイメージです。
私もまだまだ100%実践できていませんが、今でもその言葉を大切にしながら、前向きに仕事に取り組んでいます。
新卒入社して7年経ちますが、実は、失注や開発延期などの理由で、一度も製品を量産にまでこぎつけることができていません。自分の携わった製品がなかなか世の中に出ていかないもどかしさや、また同期の活躍を聞いて、焦りを感じていました。
そうした感情の中で目に付いたのが、ビジネスコンテストへの挑戦でした。日々、設計のことを中心に考え、製品価値を考える機会が少なかったように感じたので、個々のスキル向上はもちろん、仕事以外でメンバーとつながり、組織としてもレベルがアップできる良い機会になるのではと考えました。そして、課の同僚や先輩に話してみたところ、同じ想いを抱いており、「とりあえずやってみよう!」とエントリーすることになったんです。
不安と緊張を抱えながらさまざまな方に協力してもらったおかげで1次、2次と一歩ずつ審査を通過し、最終選考に進出することができました。今思うと、右も左もわかっていない自分たちのために貴重なお時間を割いてくれた方々に本当に頭が下がります。また、職場の上司も、この有志活動を前向きに捉え、応援してくれたのもありがたかったです。
そういった、いろんな方々の想いやご協力が、私たちの背中を押してくれ、まがりなりにもビジネス案を考えることができ、また最終選考のプレゼンもやり切ることができました。
残念ながら受賞には至りませんでしたが、「失敗してもいいからとにかくやってみよう」と自分たちで率先して行動することで、周囲の人も環境も変化していくことを体感でき、また、ビジネスの顧客となり得る方々の生の声を聞くことの大切さに気づけました。
そして何よりも、チームのメンバーと納得できるまで議論した時間は、かけがえのないものとなりました。今でもこの活動をメンバーと一緒に続けています。
たくさんの人に恵まれ、支えられて、これまでのキャリアを歩んでくることができました。
しかし、つらいとき苦しいときに、それをどう乗り越えていくかは、自分次第。
先のことを考えると焦りや不安が募ることもありますが、今、目の前にあることを一生懸命頑張るからこそ、次につながることができると思います。そして、デンソーには頑張ろうと思わせてくれる環境があります。
――高いマインドを持って仕事を楽しむ
私のキャリアを支えてきたのは、上司から授かったこの言葉。「楽しむ」ための原動力は、自身が作ったモノが完成する瞬間の喜びです。今でも時々、自分にとっての初試作品を見て、初心を思い出したりしています。
「仕事を楽しむ」ことは、「自分を楽しむ」ということ。
この感覚を刻みながら、これからもモノづくりを楽しみつつ、挑戦し続けたいです。