2017年キャリア入社
小口 貴弘(こぐち たかひろ)
AD&ADAS(エーディーエーダス)システム開発部所属
幼少時代からゲームやプログラミングに慣れ親しむ。学生時代は量子力学やカオスシミュレーションを専攻。新卒でゲームメーカーに入社し、エンジニアとして15年勤めたのちデンソーに転職。前職で培った仮想環境での研究開発技術を活かし、自動運転や先進運転支援システムの先行開発などに従事。
Interview
培ってきたゲームの要素技術と、新たな知識を融合させて目指すビジョンとは
モビリティ / 研究・開発・設計
転職市場では比較的遅めのタイミングといわれている37歳で、知識ゼロの異業界であるデンソーへキャリア入社しました。
新卒からずっとゲーム業界で働いていた私に自動車の知識は全くなかったですし、エンジニアとして働いていたので、自分の年齢層の求人条件に多いマネジメント経験もありません。
一方で、ゲーム業界特有の技術と言われるものをずっと磨き続けてきたのですが、その強みを、全く別の領域である自動運転の分野に活かして働いています。
デンソーに入ってからは、新しい知識を1から身につけるのに苦労しましたが、それでも自動車の世界で ”あること” をやり遂げたいという強い思いがあったんです。
2017年キャリア入社
小口 貴弘(こぐち たかひろ)
AD&ADAS(エーディーエーダス)システム開発部所属
幼少時代からゲームやプログラミングに慣れ親しむ。学生時代は量子力学やカオスシミュレーションを専攻。新卒でゲームメーカーに入社し、エンジニアとして15年勤めたのちデンソーに転職。前職で培った仮想環境での研究開発技術を活かし、自動運転や先進運転支援システムの先行開発などに従事。
元々ゲームが好きで、幼稚園くらいの頃から、隙を見ては駄菓子屋の一角にあるゲームコーナーに通っていました。
ゲーム業界で働くことになったのは偶然のきっかけからでした。
当時、ハンドサイズの小さなコンピュータが大好きだったのですが、採用面接を担当した方も、たまたまそれが好きで話が合い、とんとん拍子で入社が決まったという経緯があります。
そうして運に恵まれ、ゲーム好きがゲーム業界に飛び込むことに。
(今もゲームが大好きで、ある格闘ゲームタイトルで上位2%内には入っています。しかしプロの方は上位0.0X%ぐらいなので、彼らには全く歯が立ちません。笑)
当時はゲームの要素技術(GPU:グラフィックスプロセッシングユニットや、リアルタイムCG:コンピュータグラフィクスなど)の研究・開発が主な業務でした。
その職場に15年在籍し、ゲーム開発エンジニアとしてのスキルを磨き身につけてきましたが、ふと「この技術を応用して何かできないだろうか」と思ったのが転職のきっかけです。
色々と情報を探していたところ、前職の元同僚でデンソーに転職した方から、自動運転の領域で、運転機能のテストやAIの機械学習にゲームの要素技術が必要とされていることを知りました。
また、自動車業界への挑戦を後押しした出来事として、24歳の頃、交通事故で重症を負った経験があります。
脳脊髄液減少症という病気になり3年間くらいめまいが止まらず、一番遊び盛りだった時期に、友達と遊び飲み歩くことが一切出来なくなってしまったんです。
寝たきりを覚悟するほどでしたが、大きな手術をしたり、リハビリを頑張ったりして運よく動けるようになりました。本当につらい時期だったことをよく覚えています。
自分の強みを応用しようと考えたことをきっかけに、そんな過去の自分とも向き合う中で 、“自分は何がしたいのか”、“何に貢献したいのか”がはっきり見えるようになりました。
あの時、安全製品がクルマについていたら、事故であれだけ苦しむことがなかったのかもしれない。
自動運転の開発に携わり、悲惨な事故をなくしていきたい。
そういう強い思いが、自分を新たなチャレンジに導きました。
デンソーに転職後、クルマのことは全く分からなかったので、数多ある社員向け教材で勉強する日々。部署に丁寧に教えてくれる先輩・同僚がいたおかげもあり、クルマの知識を1から吸収していきました。
また、当時は「自分はバーチャル世界の専門なので、仮想環境だけに取り組んでいればいい」と思っていましたが、自動車、特に自動運転に携わる以上は実車を触って勉強すべきと思い、運転免許保持者でも合格が難しいテストドライバーのライセンス取得に挑戦。
担当教官の熱心な指導のおかげで、何とか追試験でギリギリ合格することができたものの、運転が苦手だった私にとってトレーニングは予想以上にハードなもので、入社後非常に苦労した思い出の一つになっています。
それでも、クルマに関しての徹底した安全のこだわりや、乗り味などのUXの完成度を上げようと追及されていることなど、実際に運転の勉強をしないと気づけないことがたくさんあったので、運転技術の自動化を考えるにあたっての大切な経験でした。
事故にあったときは、自分が日常的にクルマを運転するなんて思いもよりませんでしたが、テストドライバー試験で得た運転の感覚を忘れないようにとマイカーを購入し、普段の生活に運転する機会を取り入れるぐらい、今やクルマは身近な存在になっています。
こうして1から知識を身につけながら、今まで培ったゲーム分野での技術を活かし、自動運転に関わるシステムの開発を行っています。
時にふと立ち止まり、自分の強みを何かに応用できないだろうかと、考えてみたり動いてみたりすると、今までの自分の延長線上にはなかった、新しい世界に巡りあうかもしれません。
さらに、 “何がしたいか”、“何に貢献したいか”という思いがあれば、自分のフィールドの外に出たときに大きな壁にぶつかったとしても、乗り越えられると感じています。
そのためにも、自信を持てるような強みや技術を持ち、磨いておきたいと思います。
強みや技術そのものに真摯に向き合い、時には本当にこれでいいのかと疑ってみることも含めて、自分で考え、手を動かし、自らが汗をかくことで少しずつでも自信をつけていけると思っています。
転職して4年、仕事の中で、自分の技術を自動運転に応用できそうなポイントを見つけたとき、とても面白いと思い、やりがいを感じてきました。これからも、事故のない世界を目指し、安全な自動運転技術を開発できるよう技術と向き合いながら挑戦していこうと思います。
あとがき
年齢を重ねてから異業界への転職はなかなか難しいと言われている中、臆せず挑戦した小口。
新卒入社で新しい知識を教えてもらったときのように、キャリア採用の自分に対しても、自動車について丁寧に教えてくれる若手や先輩や教育のお陰で、知らないことをどんどん吸収していけたことに嬉しさを感じていました。
そんな風に自分も、相手を思いやりながら技術を共有できる人でありたいと彼は話します。
技術に自信があってもなお、何度壁にぶつかっても諦めず、知識を吸収しようと謙虚な姿勢を貫く彼自身の魅力が、バックグラウンドの違う相手と自分をやさしく繋ぐ空気感を醸し出しているのかもしれません。