Group talk

個性豊かなメンバーが、
存分に力を発揮できる環境をつくるために

モチベーションの有無が、生産性を左右する

ものづくりDX推進部 F-IoT室

  • #F-IoT
  • #ソフトウェア
  • #マネジメント

世界130ものデンソーの工場をIoTでつなぐため、その土台となるシステム(プラットフォーム)の開発・展開を行う、F-IoT室。
ここでは、いろいろな専門性や役割、バックグラウンドを持つ個性豊かなメンバーが各々の強みを活かして力を合わせ、大規模な開発を進め、成果を出しています。
今回は、そんなF-IoT室でのチーム活性化に取り組む矢ヶ部と黒田が、チームづくりについて語ります。

矢ヶ部 弾(やかべ だん)

ものづくりDX推進部 F-IoT室 課長

電機メーカーのシステム企画開発、銀行のシステム企画開発の前職を経て、デンソーにキャリア入社。現部署では、システムの開発・導入・保守のプロジェクトリーダーと課のマネジメントを務める。
新卒の工程設計者、キャリア採用や社内異動で加わったソフトウェア技術者、多数のパートナーなど多彩なメンバーを率い、2018年にチームで内製Factory-IoTプラットフォームをリリースし、国内外へ展開中。

黒田 雄大(くろだ ゆうた)

ものづくりDX推進部 F-IoT室 所属

新卒入社当初は製造部で生産技術を担当しハードウェア領域を経験。そののち製造部に関わるソフトウェア領域を扱う現部署へ異動し、開発システムの運用・保守を担当。開発して終わりのシステムではなく、進化し使われ続ける、信頼性のあるシステムの在り方に着目し、SREの導入を行っている。
また、チームの和を大切に考えており、チーム活性化のためにメンバーへ積極的に働きかけを行っている。

目指したいチーム像とは

プロジェクトのためにメンバー誰もが本音を言えて、激論ができるのが最強のチーム…ですが、本音とは難しいもので、相手を尊重しチーム内での信頼関係が築けたうえで本音を言わないといけません。

多様な見方を持ったメンバーの本音を柔軟に取り入れていくことで、変化が激しく予測の難しい今の時代に適した、しなやかな強さを持ったシステムを開発でき、進化させ続けることができます。

そのためにも、言う側は攻撃的な発言をするのではなく、相手を思った発言ができる、また受け取る側も、耳の痛い話だけれど自分のことを思っての発言だと受け取れる。チームの誰もがそんな意識になるのが理想ですね。

うちのチームには個性が強いメンバーが集まっていて他部署からは”動物園”と揶揄されるほど。
みんな真剣なあまり思いが強く、本音で発言しすぎて衝突したり誰かが傷ついたり、たびたび事件が起こります。
議論がヒートアップしすぎて、わざわざその場で言うべきでないことにも話が及んでしまうんです。

そうなるとチームの雰囲気が悪くなり、誰かのモチベーションを下げてしまうので、その場ですぐに「建設的な議論をしよう」と言い、議論したいポイントに焦点を当てて話します。
論点を変えるときはきちんと宣言し、みんなが1つの論点に絞った議論ができるようサポートします。

打合せのシーンを1つ例に出しましたが、時にそうやって介入していい方向に向かうよう調整しています。自分が嫌われ役になってでもチームを調和させようと、毎日メンバーに体当たりで向き合っています。
みんなが本音を言えて、いいシステムを開発しつつ、メンバー自身もやりがいを感じられる、そんなチームを目指しています。

メンバー同士が信頼し、本音を出せるチームに必要なこと

いろんな個性を持つ人がチームとなって働くとき、どうしても揉め事が起こってしまうものですが、
相手を知り、自分を知ってもらう場を作ることで、メンバー同士でお互いを尊重し信頼感が高まるよう工夫しています。

うちのチームでは、“雑談”に力を入れています。
コロナ禍を機にリモート会議が増えてきたこともあり、相手のことを知ろうと、意識して雑談を増やしコミュニケーションをとるようになりました。

たとえば、週の中で60分の全体会議があれば最初の15分は雑談タイムと決めるなど、意識して取り入れていきました。
さらにプロジェクトごとの小チームでは、大きな用事がない時でも「ちょっと繋げる?」といって15分ぐらいオンラインで気軽に会話しています。

家族の話をすることもあれば、仕事に近い話の時もありますし、話題は色々ですね。
「最近こんな仕事が増えちゃってやりづらいんですよね」「この作業、無駄じゃないですか」そんな正直なボヤキが聞こえてきたり、個性がよく知れるのはそんなフランクな場でした。

コロナ禍以前では毎日出社し顔を合わせていたものの、お互いの個性を知るという目的意識を強く持っていたわけではありませんでした。
しかし今、雑談を通してメンバーの思いや個性を知っていくうちに、これまでがいかに“相手のことを知ったつもり・分かったつもり”になっていたか、気付いたんです。
より意識してフランクなコミュニケーションの場を持っておいた方が良いということを実感しました。

あとは、昼礼で各自の趣味をチームメンバーに話したり、ちょっとした感謝のメッセージやメンバーの誕生日を、全員共有の“thanksボード”に書いたりしています。
コミュニケーションを活性させるだけでなく、心理的に孤立してしまう人をチーム内に作らない、という意図としても取り組んでいます。

チームの生産性を高めるために、一人ひとりの働きがいも考える

良いチームにしていくには、全体の雰囲気やグループ内での信頼関係だけでなく、メンバーそれぞれのやりがいを感じる瞬間を把握し、モチベーションを保つことがカギになってきます。
モチベーションのあるなしで人間の生産性は何倍も変わってくるからです。

賃金など制度面だけではなく、“この組織で必要とされている”、“仕事を通じて価値のある存在だと認められている”、といった自己承認欲求を満たすことがやりがいとなり、モチベーションの維持・向上につながります。

自己承認欲求は、自分も含めだれしもが持っているものですが、“できるだけ多くの人から自分に声をかけてもらいたい”、と思うぐらい強い思いを持っている人もいれば、“自分がやっていることを少しでも認めてもらえればいい”、と思う人もいる。

また、何を認めてほしいか、も様々。
「俺自身を見てほしい」という人もいれば「やっている内容を認めてほしい」という人もいるし、「やっていることがいかに新しいかを理解してほしい」という人も。

それにこたえるために、例えば、ミーティングの中であえてその人の名前を出す、内容について納得していると本人に話すなど、メンバーの個性に合わせ、それぞれのやりがいを満たせるよう工夫しています。
(ただし、複数人の前で承認欲求の高い人ばかりに声をかけると不公平感が生まれるので、やりすぎないよう注意しています。)

たまに、自己承認欲求が強すぎるあまり、“他の人よりも自分が目立ちたい!”、“ある人より自分が勝っていたい!”と、相手にマウントを取る行動をしてしまい、なかなか周囲とうまくやるのが難しい人もいます。
もちろん、そのような言動はチームのほかのメンバーのモチベーションを下げてしまうため、それはやめようよ、ときちんと説明します。

しかし、そういったチームワークが苦手な人の中には、個として圧倒的な力を出すのが得意な一面を持っていることも。
そういう人には、無理をさせてまで複数人での仕事に慣れてもらうのではなく、1人で集中して取り組める仕事をアサインし、力を発揮できる環境を作ります。
好き勝手やるのを黙認するということではなく、「ここだけは守って進めていきましょう」と約束するんです。
そこさえ守ってもらうことで、後工程にスムーズに仕事を引き継げたり、他の意見を取り入れたり、いざというときに他の人に交代できるため、チームとして仕事を進めることが可能になります。

また、各人のやりがいポイントを探すために、それぞれの発言や行動を観察するだけではなく、各メンバーとの1対1の対話やヒアリングシートを活用しています。
そのなかで、“この人はどういった人生を歩んでいきたいのか”、“この人のモチベーションが高まることは何だろう”ということを探るんです。

自分自身のモチベーションについてストレートに話すメンバーもいますが、何かしらのコンプレックスを持っている人や控えめな人の中には、なかなか自ら話してくれない人もいて難しい時がありますね。無理矢理聞き出すとケンカになってしまうので、それは絶対やりません。

そのように承認欲求に紐づくやりがいポイントを押さえてコミュニケーションを取ったり、裁量権をフレキシブルに変えて仕事を割り振ったりすることで、メンバーそれぞれのモチベーションを保てるようにしています。
それでも不満を持っているメンバーに対しての最終手段としては、集中的に対話をしたり、F-IoT室にとって本当に必要なメンバーなんだ、という思いを伝えるなど、直接的なやり方で接しています。

メンバー十人十色、うまくいかないこともある。けれど、そんな混沌とした状況を楽しく超えていく。

このようにいろいろな工夫をしているのは、すべてのメンバーが、決まりきった一つのコミュニケーションのやり方に合うわけではないからです。
本当に十人十色。メンバーの個性を日々感じています。

僕たち2人はそんなメンバーみんなの伝えたいことや思いを見逃さないようにしています。
チームで使っているコミュニケーションツールで毎日大量のメッセージが飛び交うのですが、二人ともスルーせず、できるだけ早くリアクションをしています。

激しく本音のぶつかり合うチームなので、大変そうだと思われることも多いのですが、逆に整然とワークするチームだときっと僕自身は少し物足りなく感じてしまうと思います。

チームとして成果を出すために、開発するシステムそのものだけを考えるのではなく、メンバーのポテンシャルを信じてサポートし、チームとしていきいきと楽しく仕事ができるよう意識しています。

一人一人に向き合い、いかにメンバーのモチベーションを高めながら、チームの生産性を高めていくか。悩むときもたくさんありますが、混沌とした状況の中で試行錯誤することが楽しく、やりがいを感じているんです。

あとがき

いいシステムを作るために、チーム力を高めて本音を言い合う。
チーム力を高めるために、一人ひとりのモチベーションを高める。
個性あふれるメンバーに向き合い、より良いチームを目指すその過程を悩みつつも楽しみながら、チームをまとめ結果につなげる矢ヶ部と、自分の思いもきっと受け止めてくれると感じさせる安心感を作り出す黒田。
そんな2人の話を聞いていると、チームメンバー個人に対して、人として向き合うことの大切さを感じ、チームワークへの前向きな気持ちが湧きあがってくるのです。